
マンションの大規模修繕工事で、工事業者約20社が談合を繰り返していた疑いがあるとして、公正取引委員会は4日、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで各社への立ち入り検査を始めた。関係者への取材でわかった。
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立ち入り検査を受けているのは、関東におけるマンション大規模修繕工事の主要事業者で、長谷工リフォーム、シンヨー、中村塗装店、建設塗装工業、日装・ツツミワークス、大和、リノ・ハピア、富士紡、YKK APラクシーなど。
関係者によると、マンションの住民で作る管理組合が発注したマンションの大規模修繕工事を巡り、業者の選定で行われた見積もり合わせや入札で、工事業者約20社が事前に受注業者や額を決めていた疑いがある。見積もり合わせなどは、管理組合から委託を受けた管理会社や設計監理会社が実施していた。
公取委は、工事各社が受注価格の下落を防ぐため、数十年前からこうした受注調整を繰り返していたとみている模様だ。
マンションは東京、神奈川、千葉、埼玉の関東1都3県を中心に増えた。定期的に大規模な修繕工事が必要となり、管理組合はそうした業務を管理会社や設計コンサル業者に委託するケースが多い。高騰する修繕積立金も問題となっている。
国土交通省が2021年に実施した調査によると、マンションの大規模修繕工事の平均周期は13年が23.1%と最多で、約7割が12~15年周期で実施していた。工事の回数が増えるほど修繕周期も短くなる傾向があった。
工事金額については、1回目は4千万~6千万円の割合が最も高く、回数を重ねるごとに高額化する傾向にあった。3回目以上では1億~1億5千万円の割合が高かった。1戸あたりの工事金額は「100~125万円」の割合が最も高く、次いで「75~100万円」、「125~150万円」だったという。